紀陽銀行×FM802 The DREAM BANK PROJECT

いつ頃から現在の職業に就きたいと思われましたか?
また、そのきっかけは?

【河瀨】18歳の時です。学生時代はバスケットボールをしていたんですけど、バスケは体力的にある程度の年齢までしか現役でいられないな、ということもあり、生涯現役の仕事をということで、ものづくりの世界に入りました。
映画の神様が私の前に舞い降りてきた、という感じで、、、。

【秦】中学時代にギターと歌を始めました。
最初はコピーだったんですけど曲も作り始めて。初めて人前で歌ったのは、軽音学部だった高校時代。歌を聞いてくれた先輩や友達が喜んでくれたのを見て「俺って、歌うまいのかな?」って、ちょっと思って。
オリジナル曲を初めて歌ったのは、横浜のライブハウス。歌うことを生業にしたいと思ったのは、卒業後、18歳の時でした。

充実感を味わえた瞬間、夢を実現できたと思えた瞬間はいつでしたか?

【河瀨】自分が初めて作った映画でお客さんがお金を払ってくださった時です。
「につつまれて」という生き別れた父親を探す、というプライベートのドキュメンタリー映画を完成させて、自分でフィルムを持って全国主要都市の公民館などを回って上映しました。
その時に私のことをまっすぐに見てくれるお客さんの瞳を見て、私は生涯映画をやめないな、と思いました。

【秦】充実感というか、自分にとってやるべきだと思ったのは、デビュー5周年の時、ひとりで弾き語りでやった武道館ですね。
全編ひとりで、ということは、自分で決めたんですけどね。いつか武道館には一人で立たないといけないんじゃないか、という思いがあって、実際やったことは達成感というか、必要な経験だった気がするし、それを経てまた考えることが沢山あったなあ、と思います。

河瀬直美さん
秦 基博さん

映画と音楽という世界でそれぞれご活躍のお二人ですが、これまでの過程で一番苦労した時は?
そのような時に、どういった気分転換をされますか?

【河瀨】今ですね(笑)ずっと、苦労しています。でもその苦労がバネになりますね。気分転換には畑をしています。野菜作りを語り出すと一時間以上かかるので、これくらいで〜(笑)

【秦】曲を作る度に生みの苦しみはありますけどね。結局やるしかない、ということの繰り返し。やり続けないと出来ない、という事だけは確かなので、そういう時はひたすら考え続ける、って感じですね。気分転換は、漫画です。音楽の事を考えなくて済むものに一旦入り込むと、ある瞬間に「音楽やろう!」って思えるんです。

今回は、映画(「あん」)と音楽(主題歌「水彩の月」)という夢のコラボレイトでしたが、そのいきさつは?

【河瀨】昨年12月にやった「シンクロニシティ」というイベントの打ち上げの場でしたね。

【秦】そう、居酒屋で「あん」のダイジェスト版を見せてくださって、「頼んだら曲かいてくれる?」って(笑)。年明けに正式にオファーを頂いて、「まずはとにかく映画を観てほしい。」と、0号試写と呼ばれる完成手前の編集版を観る機会をもらい、そこからすぐに思い浮かんだものを形にしていきました。

河瀬直美さん
秦 基博さん

完成した映画を最初に見た時の感想は?

【秦】僕が映画の音楽を作る場合、曲がかかった時に音楽の事を気にしないで、映画のエンドロールにひたれたら成功だと思っているんです。完成した「あん」を見終わった時には、物語の余韻の中にいたので、役目は果たせているかなあ、とは思いました。

この映画「あん」の先に見えたものは?

【河瀨】そこで出会いを閉ざしてしまってはあり得なかったコラボレーションで、自らが一歩ずつ歩いて行った先に今回のご縁があるので、これを経験として、私たちが自分達のフィールドを広げていく、ということを想像しています。

次なる「目標」は何ですか?その為に今されている事は何かありますか?

【河瀨】日本国内で、私の映画を見てもらっている人の数がまだまだ少ないと思うので、もっと増やしていきたいですね。それと同時に、作品の内容が今の時代だけに受け入れられるものではなくて、千年先に、もし人類がいれば、その人たちにもちゃんと伝わるような作品を刻んでいきたい、と思っています。今回の映画「あん」は、約40ケ国での上映が決まっているのですが、もっともっと増えて、全世界で上映されるようになりたいですね。

【秦】僕は「アルバム」です。オリジナルアルバムは、ミュージシャンとしての活動の中でとても大きなものなので、それをどういう形でみなさんに提示できるか、という感じで日々制作、レコーディング、曲作りの作業をしています。

河瀬直美さん
秦 基博さん

今、自分の夢を実現しようと頑張っている方々にエールをお願いします。

【河瀨】これだけ情報が溢れる時代で、夢を見つけられた、という時点で勝ちだと思います。
本物は1つしかない。表現をする事もそうで、今回の映画「あん」を作る上でも「美」は1つしかないから、そこを残すために、作り手として、いろんなものを排除した事もありました。夢を1つ持ったら、あとはそこに向かっていくだけだから、余計な事は考えずに、あるようで、他の道はないから、1つだけ選んだ道を歩いていって欲しいかな。具体的には3年くらいは辞めずに続けた方が後の人生が豊かになると思います。

【秦】自分のことに置き換えると、苦難に遭った時、結果、やるしかないな、というところに行き着くんですよね。というか、いかにそこにいけるかが重要だと思うんです。きっとそれも出会いと縁が導いてくれると思うので、「夢がある」「やりたい事がある」ということだけで充分なんじゃないかな、と。

河瀬直美さんと秦 基博さん